「お前さ。いつになったら敬語やめるの?」
左足だけを避けてぴったり密着し、私の胸に顎を乗せたまま上目使い。
恵一は普段はぶっきらぼうなわりに、二人になるとくっつきたがりである。
「えっ? あ……じゃあ、慣れた頃に?」
今までずっと上司として接してきたから、いきなりは直せない。
「じゃあ、いつまでマスターって呼ぶの?」
それって、名前で呼べということ?
今さら恥ずかしすぎる。
「いつまでも」
「えー? マジで?」
不服そうに眉間にシワを寄せている。
「だって、マスターはマスターじゃないですか」
みんなそう呼んでるし。
「由紀」
甘えた声で、少し体を揺らす彼。
期待に目を輝かせている。
催促、されてる。
「塚原さん?」
眉間のシワが深くなった。
「やり直し」



