「え……?」
恵一が目を見開く。
大きな目が更に大きくなった。
「昨日はそれを伝えたくて。でも、マスターに好きな人がいるなら、邪魔しちゃいけないと思ってました」
気持ちを伝えるのって、なんだかすごく照れくさい。
でも、胸に支えていたものがひとつ取れて楽になった。
「由紀」
恵一の両手が私の顔を包み込み、半ば強制的に彼の方を向かされる。
顔を見て驚いた。
にっこり笑っている。
今までに見てきた、ニヤリとか呆れ笑いとかとは全然ちがう笑顔だ。
彼のこんな顔が、もっと見たい。
胸の中身を全て鷲掴みにされたような感覚がした。



