そんな夏のある日。 私は何となく母のタンスの引き出しを開けて、その中に入っていたアルバムやら何かのチケットの半券やらに、ぼんやり面影を感じていた。 一番小さい引き出しは貴重品入れになっていて、数少ない宝石類や実印と使い終わった通帳なんかが入れられていた。 昔の通帳なんか見ても何も面白いことなどないが、そのときの私には、母の名残を感じられれば何でも良かった。 読むでもなく、ただペラペラと通帳をめくり、眺める。 すると、ほんの少しだけ働いていた意識がおかしなことを感じ取った。