恋をすると素直になれなくなるとは聞いていたが、未経験だった私もとうとうその時を迎えているらしい。
意地を張りたい。
だって悔しいもん。
「お前に必要なくても、俺が言いたいから言わせてくれよ」
「それなら、ご勝手に」
そう言うと背後でふふっと笑いの息づかいが聞こえ、頭にじわり温もりを感じた。
懐かしい手の感触に早くも泣きそうだ。
「昨日俺の部屋にいたのは、お袋が気に入ったどこぞのご令嬢なんだ」
「へぇ、そうですか」
「いわゆる見合い相手……いや、見合いは断っていたんだけど。昨日、お袋が俺の部屋まで連れてきた」



