仇恋アベンジャー


力んだら傷が痛んだ。

雄輔がため息をつく。

「本当に聞かなくていいの?」

不貞腐れている情けない姉を諭す、大人びた弟。

いや、私が子供なだけである。

「本当は知りたいくせに、聞かないで後から後悔するんだろ。どうせ」

雄輔の言う通りだから返す言葉もない。

「マスターにだって、本当は心配してほしいくせに。会いたいくせに」

これも、雄輔の言う通り。

私の心の声は漏れているんじゃないだろうか。

「女の人だって、会ったなら逃げずにどんな関係か聞けば良かったじゃんか」

そんな勇気があったら聞いてる。

聞けなかったから、勝手に想像して悩んでいるのだ。

「嫌なことからすぐ逃げるから上手くいかないんだよ、姉ちゃんは」

雄輔が容赦なく痛いところを突く。

大人になりたくて、髪型を変えた。

服を買った。

でも、そんなんじゃ大人にはなれない。

心が追い付いていない。

私はまだまだ幼いままだ。