『あいつもお前のこと、好きなんだよ』
恵一の言葉がフラッシュバックする。
もし私が何の他意もなくあのカフェで働いていたら、きっと匠先輩を選んでいた。
恵一なんか、絶対に怖くて近寄れなかったと思う。
キュッと、胸に刺激が走った。
何だろう、このモヤモヤした痛みは。
彩子が今の彼氏と付き合った頃に
「全然タイプじゃないのに好きになっちゃうもんだね」
と言っていた。
当時の私はそれを不思議に思ったけれど、今なら納得できる。
私は爽やかでいつもにこにこしている匠先輩じゃなくて、無愛想な恵一を好きになった。
おっと。
いけないいけない。
あのカフェのことは早く忘れなきゃ。
恵一への気持ちも、早く忘れなきゃ。



