直後、勢いよく扉が開き、大きな背中はあっという間に見えなくなってしまった。
パタン、と扉が閉まると、じょじょに足の力が抜けていく。
冷たいフローリングに腰が落ちて、冷気で全身に鳥肌が立った。
滲む見慣れた我が家の扉。
瞬きする度にクリアになるが、またすぐに滲んでしまう。
それを何度か繰り返したところで聞き覚えのあるエンジン音が聞こえた。
認めたくなかった。
母の仇だと疑っていたから、認めるわけにはいかなかった。
兄妹だと思っていたから、認めるわけにはいかなかった。
たくさん迷惑をかけたから、認めるわけにはいかなかった。
酷いことをしたから、認めるわけにはいかなかった。
私も恵一を愛しているなんて、認めるわけにはいかなかった。



