仇恋アベンジャー


そんなの、嘘だ。

あんなに大きなクリスマスツリーを飾っておいて、暗いわけがない。

「そんなこと、ないと思いますけど」

恵一は穏やかに笑った。

「お前は鈍感だな。あいつもお前のこと、好きなんだよ」

匠先輩が?

「まさか。私、そんなにモテるはずがありません」

「知らねーよ、そんなの。信じなくてもいい。伝えときたかっただけだから」

「匠先輩、知らないですもんね。私たちのこと」

「いや、知ってるよ」

「え?」

「俺がそれとなく気付かせといた。悪い虫が、付かないように、な」

恵一は私の髪をくしゃっとして立ち上がった。

別れの時が来たのだ。