「やめません」
精一杯強がると、恵一は容赦なく私に唇を押し付けてきた。
ファーストキスだった。
だけど、私の気持ちが嘘であると悟られないよう、恵一の背中に腕を回した。
色っぽい。
母にもこうやってキスをしたんだろうか。
「お前、震えてるぞ」
なにそれ、バレてるの?
「震えてなんかいません」
「怖いんだろ」
「怖くないです」
恵一は大きな目で本心を探ってくる。
私の不可解な行動の真意を探ってくる。
「もう止められないからな」
試すように私の反応を見ていた恵一は、その言葉でスイッチが入ったように行為を開始した。
穏やかで真面目で優しいマスターなんて、やっぱり表の顔でしかなかった。



