それでも、私はもっと早く知っておきたかった。
できれば母の生前に聞いておきたかった。
こんなタイミングで知らさせるより、ずっとましだったと思う。
「で、ここからが大事な話」
そう言うと恵一は、立ち上がって私に近づいた。
隣に腰を下ろし、私の体を向かい合わせる。
熱いくらいに暖かい手に触れられると、体にピーンと緊張が走った。
「何ですか?」
鼻声だし、震えるし、自分が情けない。
こんな状態なのに、大事な話をするの?
もう、疲れてきたよ。
心がついていかないよ。
ここまでボロボロになるなら、真実なんて知りたくなかった。
恵一の存在なんて知らなければよかった。
みんな、隠すならもっとちゃんと隠してよ。
「お前はこの先、どうしたい?」



