聞こえた声に、体が震えた。 条件反射で振り向くと、雄輔の横に立つ大男。 長くて緩いウェーブの髪は後ろでひとつに束ねられている。 「マスター? どうして……」 この部屋には食べ終わったチキンの骨と母の遺影がある。 遺影は目につく場所にあるし、当然恵一だってそれに気付いているはずだ。 それなのに彼は大して驚く素振りも見せず、ただ雄輔の隣でまっすぐに私を見下ろしている。 「お前が店に来ないからだろ」 「だからって……」 「俺は何も聞いてない。辞めるとも、別れるとも」 「それはっ……!」