身支度を済ませると、予定よりも少し早く雄輔の携帯が鳴った。
「親父、着いたって」
「うん」
父はいつも車で私と母を迎えに来てくれる。
私と母は窓から車を確認して家を出るのが常だったけれど、母が亡くなってからは違う。
父が線香を上げるために、一度うちに上がってから出掛けるのが恒例化されている。
そのうちチャイムが鳴り、私が扉を開けた。
「いらっしゃい。早かったね」
「ああ、今日は道が思ったほど混んでなくてな」
「そうなんだ」
すっかり白髪の増えてしまった父は、母の遺影を数秒見つめてから線香を炊いた。
一体何を語りかけたのだろう。
父は、恵一のことを知っているのだろうか。



