仇恋アベンジャー


恵一は私に背を向けて白い仕事着を脱ぎ、黒いTシャツ姿になった。

どこで鍛えているのかムキムキな腕を組んでこちらを向く。

仕事中とは全く印象の違う恵一に、不覚にも少しだけドキッとした。

「マスターは私のこと、嫌いですか?」

「嫌いではない」

「好きでもないってことですか?」

「……そういうわけでもない」

ハッキリしない男。

振るならガツンと振ればいいのよ。

だけど迷っているなら好都合。

そこにつけこめる。

「じゃあ、抱いてください」

「は?」

「マスターに抱かれたいんです」

「ちょっ……落ち着け」

何としてでも、この男の懐に転がり込みたい。

何を犠牲にしても暴きたい。

その一心で、私は勇気を出してマスターに抱きついた。