母の真実を知って塞ぎ込んでしまった私は、恵一の母に言われた通り、恵一と関わらないように努めた。
自宅から一歩も出ず、部屋からもできるだけ出ない。
大学の講義にも出ず、バイトにも行かない。
当然店や恵一、匠先輩から電話やメールが来たけれど、読まずに無視を続けた。
迷惑をかけて申し訳ない気持ちはあったけれど、私と恵一が犯した禁忌の重圧に堪えられる気がしない。
恵一だって、知ったら落ち込むはず。
知らぬが仏とはよく言ったものだ。
母の通夜に来ていたことから、恵一は自分が松井紀子の息子であることを知っていたと思われる。
私がその娘であることに気付いたら、彼はどんな顔をするだろうか。
私を愛でたことを後悔するだろうか。



