カタンカタン……
電車は往路より軽い音を立てていた。
頭がぼーっとするけれど、記憶を掘り起こす。
計算すると、母は19歳で恵一を産んだことになる。
父親が誰かはわからないが、おそらく私と雄輔の父ではない。
だってあの父が父だったら、私たちの兄として育てられていたはずなのだ。
どんな経緯があったかはわからないが、母は赤ん坊の恵一を手放し、子宝に恵まれなかった塚原家に引き取られ、育てられた。
「どこに頼んで調べたかは知らないけど、会わせろだなんて言ってきたのよ」
恵一が20歳の頃だと言っていた。
「捨てた母親なんかに会わせるわけがないじゃない」
だけど結局、会えなかった。
「償いたいとかなんとか言って、勝手に恵一の口座を作って、通帳を送りつけてきて……大した金額も入れてないくせに」
母が振り込んでいたのは、やはり貢ぐためじゃなかった。
償うためだった。



