電車を降りると、車内との気温差に身震いした。
汗をかいていたこともあって余計に冷える。
地図で確認した通り、改札を出てから左に曲がって地下道を抜け、二つ目の信号を渡った。
私を取り囲む見慣れない世界。
恵一が育った世界。
彼の幼少期や学生時代をイメージしては周りの風景と重ね、きっと制服を着ている頃はロン毛じゃなかったんだろうな、などと独り言を漏らす。
そうしている間に目的地はどんどん近付いていた。
住宅地へ向かう坂を上るとすぐに見えた、立派な住宅。
裕福な家庭に育ったという恵一の言葉が確信させてくれた。
完全に和のテイストで仕上がっているそのお宅は、周りを取り囲む塀の長さから考えても、正に「金持ちの住まい」である。



