仇恋アベンジャー


私は恵一に近付いて押しまくる。

ここで引いたら、明日から気まずくなって距離ができそうだ。

そうなってしまったら、探りにくくなる。

「私、マスターと近付きたくて、この店で働きたいと思ったんです」

我ながら、よく口が回ると思った。

今まで好きな男の子とは、話すらまともにできなかったのに。

本気でなければいとも簡単にこんな言葉を口走れるものなのだと、自分でも驚く。

「マスターにとっては遊びでもいいんです」

「はあ?」

「もっとマスターと一緒にいたいんです」

そして暴きたい。

この男の正体を。

この男に捧げられた母の愛情を取り返したい。