「その……この間帰る途中でさ、偶然見かけて……一目惚れだったんだ……」

 そう言った弘樹は、恥ずかしいのか自分の飲み物のストローをくるくる回してた。


 男でも恋をすると乙女っぽくなるんだな……。


 高志といい弘樹といい、そう思わざるをえない。



「実は俺、これが初恋でさ……ダメかも知れないけど、後悔だけはしたくないんだ」

「……そっか」

 弘樹、初恋なのにそこまで考えてるなんて……いっぱい悩んだんだろうな……。


「それでこっ告白しようと思ってるんだけど……そこで友たちに相談なんだ……」

 なんだろう?

「出来ることなら力になるぜ?」

「サンキュー。……で告白するにしても、なかなか会えそうにない人なんだ。前見かけたのだって偶然みたいなもんだし」

 うんうんとあたしは相づちを打つ。

「だから何とか会えるように協力して欲しいんだ」

 頼む! と弘樹は手を合わせて頭を下げた。


「それはいいけどさ、その人の写真とかないのか? じゃねぇと探すことも出来ねぇよ」

 そう言ったのは黒斗だ。

「そうだよ。写真とか、何か情報とかないのか?」

 そろって協力の姿勢を見せたあたし達に、弘樹はちょっと涙ぐんで言った。