「か、可愛いって男に言うことじゃないだろ?」

 ムスッとした表情を作って言った。
 でもとっさの事だったからちょっとどもってしまう。


「悪ぃ! でもホントそう思ったんだから仕方ねぇだろ?」

 高志の言葉にまた赤くなりそうになった。
 だから怒ったフリをして顔を逸らす。


「おい、怒るなよ。今日誘い断ったのそれでカンベンしてやるっつってんだから」

 ちょっと慌てる高志。
 それを横目で見て笑ってしまったあたしって小悪魔かな?

「じゃあお互い様ってことだな。それじゃあオレ行くよ。また明日な!」

 そう言って高志の前から立ち去った。




 
 その後あたしは黒斗と一緒に弘樹と合流し、「とにかく座れる場所に」という弘樹の申し出によって学園近くの喫茶店に入った。


 適当な席に座り、飲み物を注文する。

 弘樹はすぐに話さず、注文した飲み物が来てからも何だかもじもじしていた。


 見かねてあたしの方から聞いた。

「弘樹、相談って何?」

 すると弘樹は恥ずかしげに話し始めた。


「ああ……あの、な……俺、好きな人が出来た……」

「……は?」

 予想していなかった相談だったので、思わず聞き返した。


 相談って恋愛相談だったの!?