「どうして、そんなこと聞くんですか?」

 不安げな表情はせず、あくまで自然に聞く。


「いや……ジュエルとナイトの性質のせいか、恋人同士になることが多いからね。君もそうなるのかなと思って」

「そうですか……。でも俺はどうかな。まだ分からないです」

「そうだね、まだナイトになって日が浅い。悪かった、変なこと聞いて」

「いえ」


 一通り会話が終わると、蓮先輩は飲みかけのドリンクを持ったまま俺の前を通り過ぎ、談話室から出ようとする。

 そして去り際、忠告のようなことを言った。


「でも好きじゃないなら、あまり変なことはするんじゃないぞ?」

「っ!?」

 軽くははは、と笑って去っていく連先輩を見送る。

 俺は、嫌な汗が流れた気がした。



 やっぱり苦手だ、あの先輩は……。


 ……でも、俺が友を女として好きか、ねぇ……。



 もっといじめてやりたい。

 もっと泣き顔を見たい。

 もっと感じた顔を見たい……。


 そういう意味で気に入ってるのは事実だ。

 だが……。


 友を好きになるなんて……。

 友に恋をするなんて……。


「ありえねぇ……」


 友にも、友以外にも、俺が壁を越えてまで好きになることはありえない。


 だって俺は――。





 他人を欠片も信用していないんだから……――。