田代先輩が向かったのは体育館倉庫だった。

 人気のない体育館倉庫に入るときには流石に警戒したけれど、ちょっと強引に押され中に入ってしまう。


「……あの、話って……?」

 念のためいつでも逃げれるように扉側を陣取りつつ質問した。


 田代先輩は「あの」「その」と歯切れの悪い言葉を呟いてから、意を決したように口を開く。

「ブルートパーズ……好きなんだ、君の事が」







「……はい?」

 何だろう、聞き間違いかなぁ?


 好きって言った?

 まさか女ってバレてる?


「男同士だし、引くかも知れないけど……君だから好きなんだ!」


 ほっ……バレたワケじゃないみたいだね。

 でもどうしよう……。


「お披露目のときからずっと気になってて……気付くと君の事を見ていた……」


 田代先輩の目は真剣そのものだ。
 適当にあしらうわけにはいかない。


「好きだって気付いて正直戸惑った……。迷って迷って、告白する事に決めたんだ。頼むから、ちゃんと考えて答えてくれ……」


 戸惑うあたしの目と真剣な眼差しがぶつかった。



「好きだ、付き合ってくれ!」