「ジュエルスマイル?」


 雪さんと怜さんを目の前に、あたしは今聞いた言葉を繰り返した。


 先に雪さんの部屋に行って簡単に話すと、「それじゃあ怜の部屋に行きましょう」という雪さんの提案で怜さんの部屋に二人で向かった。

 そしてもう一度説明をする。


 変に怪しまれないように、「黒斗に守られてばっかりなのは何か悪いから」と適当にウソをついておいた。


 そこで襲われない対処法として二人の口から出た言葉が『ジュエルスマイル』だった。



「そう、これさえ習得しておけば大半が近寄ってこなくなるわ」

 得意気に言う雪さん。


 近寄ってこなくなるって……どういう状況になるんだろう……?


 そう思って不思議な面持ちでいると、怜さんが説明してくれた。

「ジュエルスマイルっていうのはね、宝石のような微笑っていうそのままの意味よ」


 そして雪さんが詳しく話す。

「宝石のように美しく気品のある微笑とオーラで、一般生徒である自分達は触れてはいけない存在なんだと知らしめてやるの」

「はぁ……でも、それってどんな微笑なんですか? イマイチ想像出来ないんですけど……?」

 そのあたしの疑問に、雪さんは「そっか……どうしよう?」と困ったように怜さんに聞いた。

 すると怜さんが提案する。

「うーん、これは実際に見せた方が分かりやすいかもしれないですね」

 雪さんはそれに笑顔で同意した。