聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~

「ふぅん……」

 そう意味有り気に言った黒斗は、またドアノブをガチャガチャと動かし始めた。


 ……違う。
 ガチャガチャというよりカチャカチャという音だ。


 それにドアノブは回ってない。


 カチャン…


 という音が聞こえ、ドアが開いた。


 ドアの真ん前に座り込んでいたあたしは、ゆっくりと黒斗の姿を確認する。



 黒斗はあたしを見下ろす。

 そしてニヤリと微笑んだ。


「顔、赤いな? 目も潤んでるし……感じてただろ?」

 あたしはその質問には答えなかった。

 図星だったからと言うのもあるけど、何でドアが開いたのかという疑問のほうが勝っていたから。


「何でドア開くの……?」

「ん? こんなちゃちなカギ、針金とかヘアピンがあればすぐ開けられる」

「それでも普通の人は開けないわよ」


 あたしは脱力しながら呟いた。


 黒斗がその普通に入るかどうかはさておき……。

 何にせよ、カギ閉めただけじゃ黒斗の妨害にはならなかったってことだ。



「さーて、友。俺、部屋に入ったよな?」

 黒斗がドアを閉め、あたしの耳元に顔を近づけて言った。