それだけ、黒斗は誰からも信頼されている。


 確かにナイトとしてはこれ以上は無い人材なんだろう。



 ……本性知ってる身としてはすっごい複雑だけど……。



 そう思いながら教室内に入ると、黒斗があたしにだけ聞こえる声で囁いた。



「まず一つだな?」


 一つ?

 一瞬なんのことだか分からなかった。

 でもすぐに気づく。


 昨日決めた勝負のことか!?

 でもちょっと待って。


「これも入るの?」

 あたしは驚きつつも他のやつに聞こえないように聞いた。


「当たり前だろ? 俺、ちゃんとナイトとしてお前を守ったじゃねーか」

「うっ……」


 確かにその通りで反論の余地も無かった。


 し、仕方ない。

 もう終わってしまった以上この一回はカウントされてしまった。

 後はもう襲われて守られないようにしなくちゃ!


 あたしは決意して、いつものように弘樹と高志の所へ行く。


「あ、友、黒斗、おはよ」

 弘樹が片手を上げて挨拶してくる。

 あたしと黒斗もそれに返す。



 そこまではいつも通りだった。