お披露目が終わり皆が教室に戻る中、オレは一人トイレへ向かった。

 用をたしに行くんじゃない。
 一人で考えるためだ。


 トイレの個室の一つに入り、鍵を掛けた。


 心臓に、手を当てる。

 本当は当てなくたって分かってる。


 バクバクと、鼓膜にすら響いてくるくらい大きく鳴っていた。



 原因なんて分かりきってる。

 こうなったのは、ジュエルの正装を着た友を見てからだ。



 普段とは全く違う友に言葉を失った。

 色々言ってからかっていたけど、正直可愛くはなるだろうと思っていた。


 なのに友は、可愛いどころか……――。



 ――綺麗だった――。


 それは、隣にいる黒斗に嫉妬してしまいそうなほどで……。


「ウソだろぉ……」


 オレは頭を抱える。

 この気持ち……この厄介な気持ちには覚えがある。


 これは――。





 ――恋――。


「わーーーーーー!!」

 オレは耐え切れず叫んだ。


 同じトイレの中に誰もいなかったのがせめてもの救いだ。


 叫んで少し切れた息を整え呟く。

「……マジかよ……」


 あいつは、男なんだぜ?