演奏が終わり、あたしの両脇にそれぞれのナイトを従えた雪さんと怜さんが立った。

 そしてマイクを持った雪さんが口を開く。


『一年ジュエル・柳川 友。石号はブルートパーズ。石言葉は希望、友情、知性』


 そこまで言うと、今度は怜さんがマイクを構えた。


『そしてそのナイトは相楽 黒斗。……黒斗、ブルートパーズに誓いのキスを』


 怜さんの指示に、黒斗はあたしの手を取り跪(ひざまず)いた。



「相楽 黒斗は、ジュエル・ブルートパーズを守ると誓おう」

 黒斗はそう言って、あたしの手の甲に口付ける。

 その瞬間全校生徒から歓声が沸き起こる。


 そんな中、手の甲から唇を離した黒斗の目があたしを捕らえ、一瞬あのダークな笑みを見せた。



 ――始まったな――?



 その目はそう語っていた。

 あたしも負けないように力強い眼差しを向けて微笑み返す。



 そう、今まさに始まった。


 あたしが正式にジュエルとなり、黒斗が正式にナイトとなったこの瞬間。


 このときこそが、あたしと黒斗の戦いの始まりだった――。