聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~

 あたしはすぐにセーラー服に着替える。


 セーラー服なんて中学校以来だ。

 あたしは忘れかけていた着方を思い出しつつセーラー服を身に纏(まと)う。



 そして鏡で確認しながらウィッグをつけていると、ノックも無しに横開きのドアが開く音がした。


 とっさに振り向くとそれは黒斗で、あたしが見たときは丁度ドアにカギをかけていた所だった。



「なっ!?」

 ちょっ、これってヤバイ!?


 心の中ではあたふたしつつも、体は黒斗の方を見た状態から動けない。


 鍵をかけた黒斗が、ゆっくりとあたしを見て止まった。

 少し、驚いているような気がする。



 でもそれもほんの少しの間のことで、すぐに黒斗の口は弓月型に変わった。


「へぇ……ずいぶんと変わるもんだなぁ……?」



 腹黒キターーーーーー!!

 お、落ち着けあたし!
 はっきり言ってやるんでしょう!?


 そうは思いつつも、やっぱりこのギャップにはまだ慣れない。

 ショックから来る緊張が、心臓の鼓動を早くする。


 あたしはそれを抑えるかのように胸の辺りに手を置いた。


 黒斗は近付いてきてあたしの肩に手を置くと、ぐるんと鏡のほうに向きなおさせた。


 そして後ろから抱きつくような格好になって、セーラー服のえりに手を掛ける。