聖石学園～意地悪で腹黒のナイト様～

　だから本当になすがまま……。


　もう、どうにでもして……。


　トホホと諦め気分のあたしは、二人の気がすむまでお人形さんでいることにしたのだった……。






　かくして、30分後――。


「誰ですかコレ？」

　目の前に鏡が置かれ、発した第一声がそれだった。


「友に決まっているじゃない」

　お馬鹿さんね、と怜さんは付け加えた。


　それが冗談で言っているのか本気で言っているのか分からないところが怜さんらしくて怖い……。


　でもだって、鏡に映る自分は別人のようだったから……。


　黒ぶちメガネは外してコンタクトに。

　ビューラーかけてマスカラをつけたまつ毛で目元はパッチリ。

　赤すぎない程よい色のルージュをつけた唇はぷるんとしてる。


　あたしの顔は見事に美人と言われる部類のものになっていた。



「……お化粧マジック」

　メイクって凄い！



　そう思って呟いた言葉に、雪さんが「はぁ！？」と素っ頓狂な声を出した。


「あんた何言ってんの。それ、ナチュラルメイクよ？　モトがいいのよモトが」

「そうよ。あなたいい加減自覚しなさい」


　怜さんが続けて言う。