そりゃあ他の二人よりはあたしの方が気安いだろうけど、邪魔する側に回るって選択もあったはずだ。


「邪魔するよりゲーム楽しみたかったとか? それで先輩達より気心の知れたあたしのチームを選んだ、とか?」

 当たってる? と続けて聞く。

 でも弘樹の答えは全く違ったものだった。


「いや、デートしたかったのは本当」

「え!?」

「別に女装じゃなくても良かったけどな」

 そう言って弘樹が笑ったとき、注文したジュースが来た。


 グラスがテーブルに置かれ、店員が離れて行ってから弘樹は続ける。

「俺さ、友にお礼したかったんだ」

「お礼?」


 お礼なんてされるようなことしたっけ?


 眉を寄せて不思議に思っていると、弘樹が苦笑しながら言った。


「黒斗のことだよ。最近の黒斗、ちょっと前とは違う。……何だか、明るくなった気がするっつーか……。はっきりは分からないけど何か変わった」

 その言葉で、体育祭前に弘樹に黒斗のことを頼まれていたのを思い出す。


 少しずつだけど、弘樹も黒斗の変化を感じてたんだ……。

 本当、弘樹は友達のことよく見てるよね……。