当の黒斗は委員会で呼び出されていないし、二人の厚意はあたしが上手くあしらわなきゃ。


「大丈夫、悩み事なんかないって」

 と明るく言ったのに弘樹に突っ込まれた。


「じゃあ何でため息なんかついてるんだよ?」

「うっ……そ、それは……」


 上手い言い訳が思いつかなくて、視線を泳がせながら口ごもると拓馬が近付いてきた。


「何だよ皆して。何話してるんだ?」

 そう言った拓馬に答えたのは高志だ。

「いや、友がさ、ため息ばっかりついてるから悩みでもあんのかなって……。でも友何でもないっつーし……」

「ふーん……お前等には話しづらいことなんじゃねーの? なぁ、友」

「ぐっ」


 拓馬、何でそう図星つくかなぁ。


「何も言わないってことは図星か」

 拓馬はフフンと、してやったり顔で言う。


「何だよそれ。オレ等ダチじゃねぇのかよ」

 と高志が不満そうに顔をしかめた。


 あーもう! こうなるから誤魔化したかったのに。

 拓馬のアホ!!


「まあまあ、落ち着けよ高志」

 あたしが拓馬を睨みつけようとしたとき、弘樹がフォローしてくれる。


 弘樹……やっぱり良い奴だよアンタ!