「お前、俺の側にいるっつったじゃねぇかよ」

 その声は、明らかに怒気を含んでいた。


 あたしは怯んだけど、ここで終わるわけには行かない。


「言ったし、その約束は守るよ!? ちゃんといれるときは側にいるから!」

 あたしは必死になって訴えた。



 モデルの仕事がしたい。
 その決意を黒斗に分かって貰いたい。

 いれるときは側にいるから、今まで通りあたしを好きでいて欲しい。


 その全てを望むのは我儘なの?


「でもモデルの仕事を始めたら、お前は俺との時間取れなくなってくるんだろ?」

「それは……」

 その質問の答えをあたしは言えなかった。

 その通りだと答えるしかないから。

 でもその答えは、黒斗が望むものじゃないと分かっていたから……。


 そうして口ごもるあたしを黒斗は突然押し倒した。


「わあっ!? え、何!?」


 驚くあたしの耳元で黒斗が囁く。

「請けるの止めろよ、その仕事」

 そしてその手が服の中に入ってくる。


「そんな、でもあたしはその仕事がやりたいの! ってか何してるのよ!?」

 あたしの話をそれ以上聞こうともせず、黒斗はあたしのシャツをたくし上げ首筋に唇を落とした。