「それでお母さんが、その仕事請けるならお母さんの事務所と契約しなさいって。色々大変だから」

「……ああ……」

「でも、契約してこの仕事を請けるってことはこれから先もモデルとして生きていくってことになるのね」

「……」

 黒斗は驚きからは覚めたみたいだけど、段々相づちも打たなくなってきた。

 そんな黒斗に不安を覚えながらも、あたしは続ける。


「つまり、その……。学園にいけない日もあるって事で、皆や……黒斗と会えない日もあるんだ……」

 徐々に尻すぼみになる声。

 黒斗は無表情で、どう思っているのか予測できなくて怖い。



 それでも言わなきゃ。

 あたしの決意を!


「それでね、あたし……この仕事請けようと思うんだ」

「……本気か?」

 黒斗は眉を寄せて聞き返した。

 予想通り良くは思わなかったみたいだ。


「本気。……あたしね、雪さんと怜さんのデビューが決まったとき羨ましいって思ったの。目標を持ってそれに向かって輝いてる二人が」

 あたしの決意を分かって欲しくて、真剣に、はっきりとした声で伝える。

「だから、あたしも目標が欲しいと思ったの!」


「……それが、今回のモデルの話って訳?」

 そう聞き返してきた黒斗の眉間には、シワが深く刻まれていた。