「やあ友ちゃん。いつ見てもいい髪の色してるね」

「はあ、有り難う御座います……」


 開口一番がその台詞ですか……。


 この学園長と初めて会ってから半年以上経つけど、未だに謎の多い人物だ。

 毎朝夕のあたし達の食事を何故用意してくれるかも未だに分からない。


 知ってることは二つだけ。


 この聖石学園の姉妹校である聖花学園の学園長とは双子の兄弟で、外見も趣味もそっくりだと言うことと……。

 その聖花学園の学園長と唯一違うのが茶髪が好きだってこと。
 ちなみに聖花学園の学園長は黒髪LOVEなんだそうな……。

「全校生徒皆そんな風に茶髪になればいいのに……」

 あたしが二人の座っているソファーまで近付くと、学園長はため息混じりに呟いた。


「そういえばあんた茶髪好きなんだっけ?」

 とお母さんが今思い出したといった感じで言い出す。


 すると学園長は立ち上がり、火が点いたかのように語り始めた。

「そうだよ! 私は茶髪LOVEだからね!!」

 近くまで来ていたあたしは、その勢いに思わず一歩下がる。



「だからこの学園は髪の脱色OKにしてるのに! なのに何でほとんどの生徒が黒髪なんだ!!?」

 そう叫ぶと、学園長は絶望したかのように頭を抱えて座りなおした。