少女が驚いて動けないでいるうちに、唇を離し小悪魔的に微笑んだ。

「礼ならこれでいいぜ。ごちそーさん」

 言うと、俺は少女から離れ帰路につく。



 歩きながら、どことなく友の時と似てるなって思った。


 これであの少女と再会したら今度こそ運命だったりして。


「ま、流石にそんな偶然何度も起こらねぇか」

 笑いながら呟いた。



 ……でも、もし本当に会えたのなら、今度こそ運命なのかもしれない。

 そうなのだとしたら、今度こそ諦めずに俺の女にしてやろうかな。


 友を諦めようと決めて落ち込んでいたはずなのに、このときの俺はかなり楽しい気分になっていた……。