文化祭の片付けを終え、後夜祭が始まるかという頃――。

 俺は学園の外にいた。


 後夜祭は特にやることもないし、今日はこれ以上友の顔を見ていたくなかったからサボったんだ。



「やっぱ友を狙うのは無謀だったのかねぇ……」

 ため息をつきながらそう呟く。


 転校してきて友にまた会えて、本当に運命だと思ったわけじゃない。

 でも、奇跡に近い再会だと思った。


 だから、また奇跡が起きて友が俺を見てくれないかと期待してた。

 黒斗っていう彼氏がいるのは重々承知で……。

 でも、二人の間に俺が入る余地なんてこれっぽっちもなかった。


 今まで何度もスキをついてちょっかい出してきたけど、あの二人の仲は揺るがない。

 今日、ソレをはっきりと知らしめられた。



 黒斗に近付く一般客の女に嫉妬してた友。

 その顔は苦しそうで、“こんな嫌な思いしたくない”って言ってるように見えた。


 だから言ったんだ。

『俺ならお前にそんな顔させねぇから』

 って……。

 なのにあいつは――。


『こんな風に嫉妬するってことはそれだけ黒斗が好きだってことだから』

 なんて言って笑いやがった。

 そんな、嫉妬なんていう嫌な思いすらも幸せに変えてみせるとでも言うかのように……。