聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~

 黒斗の怒った表情を見て、さらに嫉妬心が湧き上がってくる。


 怒ってはいても……ううん。
 怒っているからこそ、尚更黒斗がカッコ良く見えたんだもん……。


 だからこそ、そんな黒斗を他の女の子に見て欲しくない。
 そんな黒斗に近付いて欲しくない。


 嫉妬が湧きあがって止まらない。


「友?」

 あたしの顔を見て、怒った顔をいぶかしげなものに変えた黒斗。

 あたしは黒斗の視線から逃れるように目を逸らした。


「お前……。ちょっと来い」

「え?」

 突然黒斗はあたしの顎から手を放し、代わりに腕を掴んで引っ張った。

「おい、ちょっと俺ら抜けるから後頼むな」

 あたしの腕を引っ張りながら、黒斗はクラスメイトにそう断りを入れた。


 クラスメイトはあたし達の今のやり取りを見ていたようで、少しうろたえながらも承諾してくれる。

「あ、ああ。片付けまでには戻って来いよ?」

「分かってる。サンキュー」


 そうしてあたしは腕を引かれるままに黒斗について行った。