聖石学園～意地悪で腹黒のナイト様～

「何怒ってんだよ？」

「怒ってなんかない」

「怒ってるだろ？」

「怒ってない！」

「じゃあなんで俺を見ねぇんだよ？」

　言い合って、最後に言われた言葉は怒っているかのような低い声だった。

　顔を見ていないからはっきりとは分からないけど、きっと怒ってる。


　今、ちゃんとあたしが怒っている理由を言わなきゃならないってのは分かる。

　じゃないとこのまますれ違いになって気まずくなっちゃう。


　分かってる。

　分かってはいるけど、嫉妬心と変なプライドが邪魔をして口が開けない。


　あたしがこんな辛い気持ちになっているんだから気付いてよって……そんな風に思ってしまう。


　嫌だ、こんなあたし……。


　嫌だと思っても、あたしは意地を張って無言で黒斗から顔を逸らし続けた。



「お前、いい加減にしろよ！？」

　いい加減痺れを切らしたのか、黒斗が無理矢理あたしの顔を自分の方に向かせる。

　あたしは今の顔を見られたくなくて抵抗したけど、黒斗の力に敵うわけがなかった。


「やだっ！」

　そう叫んだけど、黒斗はあたしの顎を捕らえて顔を見た。


　……見られた。

　嫉妬で歪んだ醜い顔を。