「あ、おい友! 遅いぞっ……て、由理香?」

 教室前であたしの姿を発見した黒斗がそう叫ぶ。



 あの後、由理香ちゃんはあたしと一緒についてきた。

 何故か腕を組みながら……。


 あたしは由理香ちゃんのはしゃぎっぷりにちょっと引き気味だったけど、こんな風に慕ってくれてるのに邪険には出来ない。

 だからされるがままに由理香ちゃんに腕を預けていた。


「あ、お兄ちゃん。……へーお兄ちゃんは執事風かぁ。カッコイイじゃん!」

 由理香ちゃんの言葉に、あたしは改めて黒斗を見る。

 この衣装は試着のときに一度着ただけで、前はちゃんとは見れなかったから。


 ……うん、カッコイイ。


 一度も染めていない黒い髪と衣装の黒が、整った顔立ちを引き立てている。

 それに今日は前髪をワックスで上げていて、どことなく大人っぽい。


 何か……色気出てない?


 いつもと違う黒斗に大人の色気を感じた。

 その姿を見ているだけでドキドキしてしまう。



「ん? おい友、どうした? 顔赤いぜ?」

 と心配そうな黒斗の顔があたしの顔を覗き込んでくる。


 ……はっきり言おう。


 それは逆効果だ!!