今更誤魔化すなんて……無理、だよねぇ……。
これは事情を話して何とか黙ってもらえるように説得するしかない。
「え、えーと……。とりあえず、説明するから……」
そう言うと、由理香ちゃんは呆然としながらコクンと頷き、上からどいてくれた。
「ごめん、あんまり時間ないから着替えながらでいいかな?」
「あ、はい」
聞くと、やっぱり呆然としたまま頷く由理香ちゃん。
こんな状態でちゃんと理解してくれるか心配だったけど、あたしは着替えながら話し始めた。
「何か、すごいですね……。そんなこと本当にあるんだ……」
全てを話し終えると、由理香ちゃんは壮大な映画でも見た後のようなため息をついた。
流石兄妹。
台詞や驚き方まで似てる。
あたしはメイド服に似たデザインの服に着替え終え、ウィッグをつけながら黙っててもらえるように頼もうとした。
「そういうわけだからさ、その……──」
「分かってます。黙っていればいいんですよね?」
と、由理香ちゃんはさっきまで恐ろしい形相をしていたとは思えないような笑顔で言う。



