「や、やっとついた……」

 十人くらいに声を掛けられ、やっとのことで更衣室に着いた。


 予定の時間はもうとっくに過ぎてる。早く着替えないと。


 コンコン

 一応更衣室のドアをノックする。

 でも返事はない。


「雪さんと怜さんは先に着替えちゃったのかな?」

 最初は一緒に更衣室に向かっていたけど、あたしがしょっちゅう呼び止められるものだから二人とも先に行ってしまった。

 もう更衣室に居ないなら、やっぱり既に着替え終わってクラスの方に行ってしまったんだろう。

 ガラッ

 中には誰もいなかった。


 やっぱりもう着替えて行っちゃったのかな?


 そう思って、ドアを閉めてカギを掛けようとしたとき、誰かがあたしを押して一緒に更衣室の中に入ってくる。

「え!?」

 突然のことで、あたしはそれが誰なのか分からなかった。

 分かるのは、女の子だと言うことだけ。


 後ろに押されて倒れそうになったあたしは、何とかたたらを踏んで踏みとどまる。

 そして、ピシャンとドアを閉めた女の子をちゃんと見た。