「あ~ちょっと! あたしシャワー浴びるって言ってるじゃない!?」

 結構大声で言ったのに、黒斗は規則的な寝息をたてるのみで起きる気配はない。

 それでいて腕の力が弱まることも無い。


「もう、黒斗ってば……ふわあぁあ……」

 仕方ないなぁと思うと、自然とあくびが出てきた。



 ……ダメだ、もう……目蓋が重い……。



 布団がふかふかなのと、黒斗の体温が丁度良く温かいのとで、あたしも我慢の限界だった。


 もう寝覚めが最悪だろうがどうでも良い。

 とにかく眠い!


 そうして、あたしも睡魔に勝てずに眠ってしまった……。
 

 でも、シャワーを浴びずに眠って良かったのかもしれない。

 確かに目覚めは最悪だったけど、おかげでちゃんと夕食前には起きることが出来た。


 きっとさっぱりしてからだったら気持ちよすぎて朝まで寝てたと思うから……。



 で、何とか夕飯前に起きたあたし達は、今度こそシャワーを浴びてさっぱりし、食堂に行って夕飯を食べた。

 そしてそれぞれの部屋に戻ろうとしたとき、また黒斗があたしの部屋に押し入ってきた。


「黒斗……今度はどうしたの?」

「んー……やっぱり寝たりねぇ」

 そう答えた黒斗はまたあたしを抱きしめながらベッドに横になる。