聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~

 手を引かれてついたのは、いつかのときの階段の踊り場だった。

 足を止めてあたしの手を離すと、高志はぎこちなく口を開く。


「実はな、オレ……今日のゲームで優勝したらお前にもう一度ちゃんと告白するつもりだったんだ」

「え……?」


 文化祭前、何かが起きそうな気がしてた。

 高志とのことに決着をつけなきゃいけなくなる気が……。


 それは気のせいじゃ無かったってことだ。




 あたしは、どうすればいい?

 どうすれば、高志を傷つけないで断れる?

 どうすれば、友達としてこれからも仲良くできる?



 今間違えたら……終わりだ。


 そう神妙な顔をしていると、高志の口から思いもよらない言葉が出てきた。


「何深刻な顔してんだよ。するつもり“だった”って言ってるだろ?」

 だった……過去形……?


「優勝出来なかったし、もう完全に諦めるよ」

「は?」

 今まで二度にわたりキスまでしてきておいて、ゲームで負けたくらいで諦める?


 何か、それはおかしい気がした。


 自然と眉を寄せて高志を見ると、あたしがちゃんと聞く前に答えてくれる。