聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~

「でもそれならどこに……?」

 呟いた後、黒斗がもう一度画面上に現れた。

 湯呑みをお盆に持って……。


「…………何故湯呑み?」

 あたしはボソリと突っ込みながら眉を顰(ひそ)めた。

 よく見ると画面に映っている他の生徒も変な顔をしている。



 黒斗はそんな視線の中、おじちゃんに湯飲みを差し出した。

『ずっと座ってばかりじゃあ疲れるでしょう? お茶でも飲んで一服してください』


 すると、おじちゃんは――。

『若いのに気が利くじゃないか』

 と言ってわははと笑った。


 ……笑った?


「え? これもOKなの?」

 確かに笑わせれたけど……。


『こんなんありなのかよ!?』

 不満そうに一度失敗した奴が言い出した。

 するとカメラを持っている役員が親指を立てて突き出す。

『要は“笑わせれば”いいんだからな。これも有りだ!』

 役員の言葉にブーイングが上がる。


 そんな中、黒斗は次のヒントをおじちゃんから聞きだしていた。


 そうしてすぐに走り出す。

 その表情はどこか厳しい。


「どうしたんだろ……」

 心配そうに呟くと、中継のカメラが黒斗を追ってくれた。