黒斗の顔は“他の男とデートなんかさせるかよ”と物語っている。


 黒斗……。


 胸がキュンとなって微妙に二人の世界を築いていると、どこからともなく邪魔が入った。


「じゃ、俺もブルートパーズのチームにエントリーするぜ! 黒斗に独り占めされたくはねぇし!」

 二人の世界をぶち壊す勢いでそう声を上げたのは拓馬だ。


 何が何でも邪魔をする気なんだろうか。

 むしろ呆れさえ感じる。


 そうしてため息でもつきそうな気分でいると、今度は意外なところから声が上がった。

「オレも! オレもブルートパーズのチームにエントリーするぜ!」

 ガタンとイスを鳴らして立ち上がったのは高志だった。


 正直あたしは驚いた。


 あたしのことが好きだとは言っていても、今まで高志はこんな風に表立って態度に表すことはなかったから……。



 立ち上がった高志は、自分の前に宣言した二人を真剣な目で睨みつけていた。

 ……特に黒斗を……。



 はたから見ると三つ巴。


 その冗談とは思えない真剣な雰囲気に、教室内はシン、と静まりかえっていた……。