「さて、ゲームの詳細説明はこれぐらいだ。エントリーに関しては直接実行委員のオレに言ってくれ。……他に質問はあるか?」

 実行委員のその言葉を聞きながらクラスメイトがざわめく中、黒斗が腕を上げて口を開いた。


「ナイトも参加できるのか?」

 その口調は落ち着いているように聞こえたけど、僅かに怒りが滲んでいた気がした。


「もちろんだ!」

 と実行委員は簡潔にキッパリと答える。


 そんな実行委員に、黒斗は「そうか」と呟いた後、皆にも聞こえるようなしっかりとした声音で宣言した。

「じゃあ俺、友……ブルートパーズのチームにエントリーするぜ」

 すると、今度は別の意味でクラスが騒がしくなる。

 一番多い声は、「やっぱりか……」と言うものだった。



 黒斗……あたしのためにエントリーしてくれたんだよね?

 他の男とデートなんか許さないって。

 さっきちょっと怒ってるように感じたのはその所為だよね?

 ……これはうぬぼれじゃあ無いはず……。


 そこまで考えたとき、黒斗があたしの方を見てニッと笑った。


 タイミングは偶然かもしれないけど、思ってることは伝わってたのかな?