聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~

「まずは三人のジュエルのうち誰とデートしたいか決めてくれ。そしたらそれぞれのチームに分かれてエントリーを始める」

「それは当日にやるのか?」

 前の席の奴が手を上げながら聞く。


「いや、エントリーは一週間前までに頼む。……そしてゲーム自体の説明だが、これは至ってシンプル! 渡されたヒントを頼りに自分が求めるジュエルのところに最初についた奴が優勝だ!」

「んだよ。それじゃあ足速いやつとかの方が有利じゃねーか」

「ふっふっふ、甘い!」

 簡単に説明が終わって、その不平さに不満を漏らした一人に実行委員はビシィッと指差して不敵に笑った。

「いくら何でもそれだけで終わるわけ無いだろう!? 彼女いてジュエルとデートが必要ない奴だって何人かはいるんだ」


 そりゃそうだ。

 いくら男子校で出会いもないとはいえ、彼女を作れないわけじゃない。

 きっかけさえあれば親しくなって恋人同士になることだってある。


 ……ただ、そのきっかけ自体が奇跡に近いんだけど……。



「それでその彼女いる奴らには、参加者の邪魔をする方に回ってもらう。邪魔の仕方はそれぞれだから、足が速いとかだけが有利になるとは限らない!」

 そこまで一通り説明が終わると、さっき不満をこぼしていた奴もやる気が出てきた顔をしていた。