聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~

 もし叫んで他の生徒が来た場合……。


 あたしはあたしで女ってことがバレてマズイ。

 黒斗は黒斗であたしを襲っているように見えるかもしれないからヤバイ。


「まず、落ち着けよ? 手、放すから叫ぶなよ?」

 そう確認してくる黒斗に、あたしはコクコクと頷いた。


 そしてゆっくりと手のひらが離れていく。


「あー」

 困惑した顔で呻いた黒斗は続けて言った。


「とりあえず着替えろ。話はそれから聞くから」

「……分かった」

 後ろを向いた黒斗の背中にそう告げ、あたしは着替え始めた。

 見られた見られた見られた!


 あたしの頭の中ではその言葉がぐるぐると回っている。


 小さい胸を見られた。

 しかも密かに憧れてた人に。

 あ、でも黒斗は小さくてもいいって言ってたっけ……。

 って! そんな問題じゃないしー……。



 あたしはもう女ってことがバレた事よりも、見られた事の方がショックだった。


 物凄く恥ずかしい。


 恥ずかしすぎて、ちょっと涙が出てきてしまった。


 でもここで泣いたらもっと恥ずかしい。

 あたしは涙を我慢して、着替えを終えた。