「はぁ~~~……」


 雪さんの長いため息が食堂に響く。



 あの後寮に帰ったあたし達は、昼食をとり部屋の掃除を済ませた。

 それが終わる頃には丁度夕食の時間になっていて、黒斗と二人で食堂に向かった。


 そして皆が集まり、夕食をとっていると突然このため息が雪さんの口から出たんだ。



「どうしたんですか? 雪さん……」


 あたしがそう聞くと、雪さんは一度こっちを向いた。

「うん、まあ……そのね……」

 と説明しようとして、またため息をつかれる。



 ホント、どうしたんだろう……。


 そういえば夏休み前にデビューのチャンスがあるとか言ってたっけ。

 もしかして……ダメ出しされた……?


「もしかしてデビューの話……」

 ダメだったんですか? と続く言葉は最後まではっきり言えなかった。

 だって、めちゃくちゃ聞きづらい。


 そう思って押し黙ってしまうと、察した怜さんが答えてくれた。

「いいえ、社長からはOK貰えたわ」

「え?」


 じゃあ何で……?


「でもね、社長からOK貰えたからってすぐデビュー出来るわけじゃないの」

 あたしの不思議そうな顔を見ながら、怜さんは続けて説明する。