聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~

 あたしはそんな黒斗を押し留める。

「ダメだよ黒斗! そんなことしたら停学くらいかねない!」

「でもコイツはお前に――」

「分かってる!」

 黒斗の言葉をそう叫んで押さえ込み、落ち着いた声音で続けた。


「あたしが酷いことされたの。だからあたしがやるの。……それなら道理にかなってるでしょ?」

 そう告げると、あたしは日生の方に振り向く。


 日生は飄々とした態度であたしと黒斗をじっと見ていた。


 あたしは日生に近付き、確認する。

「悪いとは思ってるんだよね?」

「……ああ」

 その肯定の返事を聞くと、あたしはニッコリと微笑んで片足を振り上げた。



 ――日生の股間めがけて、思いっきり……。


「うぎぃゃ!?」


 見事命中!

 日生は蹴られた部分を押さえてその場にうずくまった。


「転校したばっかりで停学になんかなりたくは無いだろうから、今日のところはこれで許してあげる! でも、もしまたこんなことしたら承知しないから!!」

 そう叫んだあたしは、痛みを堪えて何も言えない日生を置いて黒斗の元に戻った。