聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~

「ふ……ふわっくしょん!!」

 盛大なくしゃみが出た。


 ヤバイ。このままじゃホントに風邪ひく!


「スゲェくしゃみ。そのままじゃ風邪ひくぞ? 入るからな?」

 そう言った黒斗は、あたしが返事をする間もなくドアを開いた。

 あたしはとりあえず腕で胸を隠して後ろを向く。
 黒斗がタオルを置いてそのまますぐに戻ってくれればバレない……と思う。


「なんだ、上裸だったのか? そんなままでいたらホントに風邪ひくだろ。ホラ、タオル」

 背後でそう言った黒斗が、あたしの頭にタオルをかけてくれる。

「あ、ありがとう」

 と返事をしたのもつかの間。
 黒斗はそのまま「おりゃ!」と言ってあたしの髪をわしゃわしゃと拭いた。

「わあ!? ちょっ、黒斗! いいって! 自分で拭けるから!!」

「遠慮すんなって。どうせ俺待機中だし、後の時間他の奴のプレイ見てるだけだから」


 遠慮してるわけじゃない!!


「ほら、体も拭いてやるよ友くん?」

 冗談混じりの声で言ってくる黒斗。
 完全に遊んでる。


 でもこっちは、そんな冗談を笑って許せる余裕もなかったし、遊びに乗ってやる気分でも無かった。